相続財産の扱い

    
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目次

1.相続の一般的効力
2.相続人間での相続財産の扱い
3.相続財産ごとの取り扱いについて
4.相続財産に関する費用

 1.相続の一般的効果

 
そもそも「相続」とは、人が死亡することにより、被相続人(亡くなった方)の財産上の権利義務を相続人に包括的に承継させる制度となります。

■相続人は、相続開始(被相続人死亡)の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。、ただし、被相続人の一身に専属したもの(※1)は、この限りではありません。(民法 第896条)

 ※1.帰属上の一身専属権=被相続人だけに帰属して相続人には帰属することができない権利(例えば扶養請求権、生活保護受給権、使用借権、委任契約上の権利義務など)。
 

 2.相続人間での相続財産の扱い

 
(1)相続人が一人のみの場合

■相続開始と同時に、その相続人に単独で承継します。(相続財産全部を相続する。)

 
(2)相続人が数人いる場合

■相続財産は、その共有に属する。(民法 第898条)
■各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。

 ⇒つまりこの相続財産の共有状態を解消し、分割してそれぞれ相続人が遺産を取得する手続き遺産分割となります。
相続人に関しての詳細はこちら

 3.相続財産ごとの取り扱いについて(判例)

 
(1)不動産、動産、金銭(遺産分割必要)

■金銭は、不動産や動産と同様に各相続人の共有財産となり、金銭債権(可分債権)のように各相続人は、相続分に応じて分割された額を当然に承継しない。(判例 最判平4.4.10)
■遺産分割までの間、相続人は、被相続人が残した現金を保管中の他の相続人に対して、法定相続分に応じた金額の支払を請求することはできない。(判例 最判平4.4.10)

 
(2)預貯金(遺産分割必要)

■共同相続された普通預金債権、通常貯金債権および定期貯金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく遺産分割の対象となる。(判例 最判平28.12.19)
■共同相続された定期預金債権及び定期積金債権は、いずれも、相続開始に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである。(判例 最判平29.4.6)

 遺産分割前の預貯金の払い戻しについてはこちら

 
(3)不動産から生ずる賃料債権

■相続開始から遺産分割までの間に共同相続にかかる不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産であって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し、その帰属は、後になされた遺産分割の影響を受けない。(判例 最判昭17.9.8)

 
(4)可分債権

■可分債権は当然に分割され、各相続人がその相続分に応じて権利を承継する。(判例 最判昭29.4.8)

 
(5)不可分債権

■債権の目的がその性質上又は当事者の意思表示によって不可分である場合において、数人の債権者があるときは、各債権者(各相続人)はすべての債権者のために履行を請求でき、弁済を受領できます。(民法 第428条)

⇒不可分とは、給付が分割できない性質である場合をいい、使用貸借・賃貸借の終了原因とする家屋明渡請求権を数名の貸主が求める場合などが想定されます。
⇒遺産分割までは、共同相続人全員にその債権が帰属し、分割帰属はしません。
 
(5)可分債務(マイナスの財産)

■可分債務は当然に分割され、各相続人がその相続分に応じて債務を負う。(判例 大決昭5.12.4)

 
(6)不可分債務(マイナスの財産)

■不可分債務は、共同相続人に不可分的に帰属する。各相続人は、全部の履行する義務を負う。(判例 最判昭36.12.15)

⇒賃借権を共同相続した場合の賃料支払義務など 
 
(6)連帯債務(マイナスの財産)

■各相続人は、相続分に応じて分割されたものを承継し、各相続人はその承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となる。(判例 最判平昭34.6.19)

 

 4.相続財産に関する費用

 

■相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁する。ただし、相続人の過失によるものは、この限りではない。(民法 第885条)